2013年3月16日土曜日

ごぼう支援協議会呼びかけ文

福島第一原発収束作業員の、人間の尊厳をかけた闘いに広範な支援を!

▼支援をよびかけます!
福島第一原子力発電所の収束作業、そして今や多くの人が望むところである「廃炉」を遂行するには、これまで以上の膨大な被曝労働が必要となるのは、いうまでもありません。「いま、この瞬間にも」作業員は劣悪な環境で働いています。「廃炉」や「事故収束作業」は、当然にも作業員の生活と生命をまもったうえで行われなければなりません。
私たちは、作業員が直面する労働問題を自分の社会に直結する問題と捉え、支援していきます。ごぼうさんがはじめた闘いを支援し、勝利しましょう。



▼これが被曝労働の実態!
ごぼうさんは、福島第一原子力発電所の重要免震棟内で、放射線管理業務に従事していました。宿舎のあるいわき湯本からJビレッジまでは片道1時間から1時間半かかります。Jビレッジでイチエフ入域のために防護服に着替え、打ち合わせを行い、待機。イチエフでの作業時間は8時間ですが、通勤と待機に4~5時間を要し、実質の拘束時間は12~13時間。1日12時間以上働いて日給1万円、月給は手取り16万強。残業代はまともに支給されず、「危険手当(特別手当)」や「帰省交通費」などは一切支払われていません。ひと月の被曝は2~3ミリシーベルト。通勤時には往復で毎日15マイクロシーベルトの通勤被曝を強いられます。

▼収束作業員は「使い棄て」されている!
2012年10月5日、ごぼうさんは電話で解雇通告をうけました。会社側の説明によれば、「元請け会社との契約が10月末で切れるので、福島営業所を閉鎖し、福島にいる従業員全員を解雇する」とのことでした。会社の寮に住んでいたごぼうさんは、11月5日付で解雇されると同時に住居を失う危機に直面しました。ごぼうさんの加入するフリーター全般労働組合(以下、組合)は、サンシードに対してごぼうさんの解雇撤回、未払賃金の支払いと住居確保等を求めて団体交渉を申し入れ、2012年10月26日にいわき市内で交渉を持ちました。交渉の場で11月末までの住居確保は約束させたものの、会社の解雇の意思は頑強で、「元請け会社との契約解除に伴うイチエフ撤退」を理由に「解雇は正当なものである」と主張し続けています。組合は、会社が約束した「解雇を避ける努力をする」という団交での約束を履行しないため、東京都労働委員会に不当労働行為救済の申し立てを行いました。

▼消えた「危険手当」
イチエフでの収束作業は外部被曝・内部被曝を伴う危険な作業です。東京電力は通常の労務単価に危険手当の上乗せをして発注していることが昨年11月にメディアで報じられています。ごぼうさんは作業員の労賃を管轄する東京電力資材部に相談したところ、担当者は割増の契約を元請会社と結んでいることを認めました。
組合との団体交渉で会社側は「イチエフの収束作業にあたり危険手当は元請け会社より支払われていない」と回答。一方、東電は「上乗せして元請け会社と契約している」と答えました。ごぼうさんを直接雇用している会社の「危険手当を元請け会社より受け取っていない」、そして東電の「元請け会社には支払っている」との主張がともに真実であるとするならば、本来作業員に直接渡さなければならない危険手当を不当に詐取しているのは元請け会社、ということになります。ごぼうさんの闘いは労働者に対し、被曝労働に見合った対価をキッチリと支払わせる闘いでもあります

▼原子力企業「XX社」は、イチエフ収束作業員を「偽装請負」させている!
東京・中央区に本社がある大手原子力発電所保守管理のXX社の社員は、下請けの会社に仕事を発注している元請け会社であり、ごぼうさんを指揮命令してはならない立場です。もし指揮命令下に置いて使用するなら、XX社はごぼうさんを直接雇用する責任があります。XX社は、多くの「下請会社」を間に挟み、作業員を雇用の調節弁として使いたい時だけこき使い、まるで取替え可能な部品であるかのように「使い棄て」にし、これまでも雇用責任を逃れてきたのです。

▼XX社は開き直りを続けている
組合は、元請け会社のXX社に対して、ごぼうさんの直接雇用を求めて団体交渉を申し入れました。ごぼうさんに対して日常的に直接の業務指示を出していたXX社は偽装請負という違法行為をはたらいていたのです。XX社にはごぼうさんを雇用する責任があります。
しかしながらXX社は、「ごぼうさんとの直接の雇用契約がない」ことを理由に、組合との団体交渉に応じることを頑なに拒否し続けています。やむなく組合は東京本社へ団体交渉の申し入れ書を直接持参しました。しかしXX社に指示された警備員には「例の組合がきました」「早急に手順の実施をお願いします」などと団体交渉申し入れ書を届けることさえ妨害し拒否したのです。組合は、このようなXX社の団体交渉拒否の姿勢を不当なものであるとして、東京都労働委員会に不当労働行為救済の申し立てを行い現在係争中です。組合との団体交渉に応じることを頑なに拒否し続けています。

▼XX社現場責任者による日常的な暴力的支配が蔓延している。
自分が働いている会社ごと切り捨てられることに脅える下請け作業員たちは、XX社の現場責任者にモノをいうことができません。それをいいことにXX社の現場責任者は、下請け企業の人事や契約内容に差配を下すことができるという優越的な立場を悪用し、労働者にクビをちらつかせながら暴力的な言辞による恫喝を日常的に行なっています。下請け作業員の中には、このXX社現場責任者の「天の声」によってクビにされたり、パワーハラスメントに耐え切れなくなり「自発的に退職」させられたり、より危険な作業部署への懲罰的配置をされた人もいます。重要免震棟で大声を張り上げて下請け作業員たちを罵倒するXX社現場責任者の振る舞いは、他社を含む全イチエフ収束作業員にとって、良く知られている風物となっています。パワーハラスメントと下請け企業の従業員への業務指揮・命令、下請け企業への人事介入という違法行為を行なっているXX社の責任を徹底的に追求するものです。

▼責任を負うべきは誰なのか?
私たちの社会の労働環境は、重層的下請構造のもとで株主や経営者、政府がとるべき責任を免れることが常態となっています。とりわけ原発は、幾次にもわたる下請会社(協力企業!)を通して、作業員を柔軟に雇用し解雇できる仕組みを維持することで、都市貧困層と原発立地地域住民など特定小数者に被ばくを強制して動いてきました。事故後の収束作業でもこの仕組はまったく変わっていません。今回の解雇問題によって、ごぼうさんと同じ下請け会社を通じて働いていた作業員は、日々の糧を突如として失ってしまいました。雇用していた下請け社、下請けを切った元請けのXX社、XX社を締め付けている東京電力、それを支えて原発を推進してきた経済産業省・文部科学省、そこから配当を受け取ってきた株主たちに責任を取らせなければなりません。彼らこそ被ばくを強いられながら働いてきたごぼうさんたちの雇用や生活に責任を持つべきです。私たちは本当に問われるべき者たちを問いましょう。

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【解説】

発注企業:東京電力
      ↓
受注元請け企業 (東芝、日立、鹿島建設、東電工業etc.)
      ↓
一次下請け企業(T社、J社、S社、D社etc.)

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  【ごぼう支援協とは】
わたしたち「ごぼう支援協議会」には、福島第一原子力発電所(通称「イチエフ」)で被曝労働に従事していたごぼうさんの労働争議を支えるため、労働組合や市民運動、イチエフ収束作業員、有識者などが集まっています。今後、ごぼうさんの労働案件の状況について定期的にニュースレターやブログ、ツイッター等を通じて情報発信していくとともに、多くの方々に支援と賛同を呼びかけます。


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